NPO法人 じぶん未来クラブ 新川さん 伊藤さん


Q1. 普段の仕事を教えてください。


新川 都立高校で英語の教師をしています。日によって1日の授業数は3~4時間と異なりますが、1週間で18コマ担当しています。また、授業後は野球部とダンス同好会の顧問をしています。土日も野球部の練習や、練習試合があることもありますね。


伊藤 僕は大学院で博士課程の勉強をしながら、非常勤講師として高校で週に8時間倫理の授業を教えています。月・火・木は高校で授業をし、残りの時間は授業の準備や研究をしています。

Q.2 ヤングアメリカンズのサポーターとして活動をすることになったきっかけを教えてください。

※ヤングアメリカンズとは佐野一郎さんが代表を務めるじぶん未来クラブの活動プログラムの1つ。米国の特定非営利団体「ヤングアメリカンズ」を招聘し、3日間(または2日間)で、1時間の歌とダンスのショーをつくりあげる「英語で体験するミュージカルワークショップ」を実施している。

新川 出会いは2006年のことでした。当時私はまだ大学生で、友人の付き添いで学生生活課に行きました。ドアを開くと、ヤングアメリカンズのチラシが置いてあるのが見えました。その瞬間、運命的なものを感じたのです。参加要件に、「教育と英語に興味があって、歌とダンスが好きで、英語でコミュニケーションをとってみたい人」とあり、全部私に当てはまりました。更にアメリカからきたブロードウエイの卵の方たちと3日間一緒に歌ったり踊ったりできると知り、「すごく楽しそう!」と、その場でワークショップへの参加を決めました。その3日間でヤングアメリカンズにすっかり魅了されてしまったのですが、ワークショプの運営を学生がやっていることを知り、私もやってみることにしました。そこでは翌年のワークショップに向けて、1年間かけて準備をしました。代表の佐野一郎さんが広報、財務、集客など全て私たち学生に任せて下さり、仲間7人で四苦八苦しながら運営をしました。そのときのワークショップに、伊藤さんがバイオリンを持って参加してくれたのを覚えています。

伊藤 新川さんの話にあったように、僕は2007年にヤングアメリカンズに出会いました。
当時は大学2年生だったのですが、大学の個人用のポストに入っていたチラシを見てヤングアメリカンズのことを知り、好奇心で参加したことがきっかけです。なにも分からない真っ白な状態で参加したのですが、沢山の友達ができ、すごく楽しかったのです。
翌年、そのときに出会った友人の1人から運営スタッフに誘われたことがきっかけで、運営側の活動に携わることになりました。その後、ワークショップ実施のためのコアスタッフ、当日の運営サポートなど様々なかたちで、働き始めた現在までずっとサポーターとして携わり続けています。

Q.3 活動内容を教えてください。


新川 社会人になってから携わっているのはショー当日の照明スタッフです。
主に土日に参加しています。スタッフとしては活動歴が長いので、参加している後輩スタッフを育てるということを意識して活動しています。
過去にはコアスタッフとして、大学生向けのミュージカルワークショップを実施する運営を行っていました。そのときは、1年位かけて、上映するホールを探し、企業へスポンサーを依頼し、大学をまわって広報や活動説明会を行ない、更に当日のスケジュール決めから運営までのすべての準備を行ないました。
この団体のボランティアメンバーは皆、ヤングアメリカンズのプログラムのために何かをやりたいという想いの元、自分ができることを探して自発的に活動をしています。職員の方から何かを指示されたことはなく、自分たちで考えて動いています。なので、ボランティアをしているという意識はあまりなく、自分が楽しいからやっています。
今は働いているので、学生時代ほど濃く関われてはいないのですが、それでも今の自分がこの組織のためにできることは何かを考えるようにして、後輩たちが自立できるようなサポートをしています。

Q.4 仕事をしながら活動を続けていくのは大変だと思うのですが、モチベーションとなっているものはあるのでしょうか

伊藤 このプログラムの参加者が得られるものを、体験を通じて知っているからです。
安心してワークショップに参加してほしい、そして、自分と同じように沢山のものを得てもらいたいという思いがあります。
運営者として3日間子供と一緒に過ごしていく中で、子供たちがどんどん変わっていく姿を見ることができることは、大きな喜びです。
また、僕と同じ思いを持ち、目指す方向が同じ仲間たちの存在も大きなモチベーションとなっています。ときには率直に議論し、ぶつかることもあるのですが、最終的にはお互いを受け入れ合うことができます。
年齢差があるメンバーと信頼し合える仲間になれることはやはり嬉しいです。
何より、プログラムで赤字が出ようとも運営を私たちに任せてくれたり、考えていることを本気でぶつけてくれたり、惜しげもなく若い世代に投資をしてくれた代表の佐野一郎さんを、本当に尊敬しています。


新川 この活動のサポートをすることで、子供たちが輝いている姿をみて、ポジティブなエネルギーを分けてもらえるのです。
私は教育者として、ヤングアメリカンズを全面的に信頼しています。ヤングアメリカンズでは、ひとりひとりの個性を尊重するという包容力を持ち、子供達が思ったことをそのまま表現することを大切にしています。そして、子供たちを叱って押しつぶすのではなく、頑張っているところを見て褒めて引き伸ばすことの大切さを教えてくれました。教師としての仕事の仕方は、佐野さんはじめじぶん未来クラブの職員のみなさんに教えてもらったと思います。
教師としての在り方や生徒との関わりに不安が生じた時期もありました。そんなときに土日の活動のサポートをすることで、子供たちの輝いている姿を見て、この場所でやってきたことを信じるエネルギーをもらうことができました。
教師として5年間これまでの経験を実践に活かしてきました。すると、子供たちが信頼して心を開いてくれて、どんどん伸びていってくれていることを感じています。
卒業式では、生徒が自分に会いに来てくれたり、色紙に素敵なメッセージをくれたり、沢山のことが自分に返ってきて、私のやってきたことは正しかったのだと実感させてくれました。
今の自分自身を創ってくれたヤングアメリカンズに本当に感謝していますし、自分ができることを返していきたいと思っています。

Q.5 ボランティア活動をしてみて、自分自身が変わったことはありますか。


伊藤 ボランティアを始めたのが何年も前のことなので、活動を通して変わったのか、その他の要因もあったのか分からない部分もあります。
ですが僕は、「そのままの自分でいいのだ」と思えるようになりました。
活動を通して、子供たちに「ありのまま、思ったことを表現しよう」って言っているスタッフが、自分を偽っているっておかしな話ですよね。
この活動でありのままの自分を受け入れてくれる仲間に出会い、共に時間を過ごしてきたので、変に自分を飾る必要がないと気づくことができました。

新川 考えたこともなかったですね。ですが、もしヤングアメリカンズに出会っていなければ、今現在、教師をやっていないと思います。
元々私は社会経験を積むため、教師になる前に一般企業に勤めたいと考えていました。
しかし、活動に参加するようになって、「自分の生徒をこの活動に参加させたい!」という思いが湧き上がるようになりました。教師としてのキャリアを重ね、一刻も早くその夢を叶えるために、大学を卒業してすぐに教師になりました。
そして実は、もうその夢は叶っています。私の学校にヤングアメリカンズを呼び、ワークショップを開催することができました。更に、受講した生徒がダンス同好会を立ち上げたいと言ってくれて、今ではダンス同好会の顧問もしています。
ヤングアメリカンズとの出会いがなければ今自分は何をしているのだろうと思うくらい、本当に大切な存在です。

Q.6 今後はどのように活動に参加していきたいですか?

新川 この団体には実は1000人以上のボランティアがいます。みんなそれぞれの想いを持ち、自分のやりたいように参加できる場所があります。
なので、関わり方に濃淡はあるかもしれませんが、そのときの状況に応じて、ちょうどいい関わり方をしていくのだろうと思います。
社会人になった今でも私が活躍できる場所を任命してくださったりしています。もしかしたら将来は母親としてボランティア活動に参加しているかもしれませんね。そうやって頼っていただけることは、すごく光栄ですし、それに応えていきたいと感じています。
自分たちがやってきたことを学生たちにも経験してほしいと考えているので、次の世代にもチャンスを与え、そのサポートに回ることも必要かもしれないと考えています。


伊藤 僕も、自分とこの団体との関係はなくなることはないと確信しています。
距離が変わることがあったとしても、じぶん未来クラブとの繋がりはずっと続いていき、そのときの自分に合った関わり方を模索していくのだと思います。
なんとなく繋がりが続いていって、それが途切れることがない。そんな関係って、とても魅力的ですよね。
そして、新川さんと重なりますが自分たちがしてきたような経験を、もっと若い世代の人たちが引き継いでいってくれればとても楽しいだろうなと考えています。

Q.7 最後に、もんじゅを見ている方に一言メッセージをお願いします。

新川 私たちの団体の代表は、「人間は、誰かのために何かをしてあげることが必要だ」と言っています。
ボランティアをしてみたいという気持ちがあるのは、誰かのためになにかをしたいという想いがあるからです。このサイトを見ている人は、既にそんな気持ちを持っている人なのではないでしょうか。なので、悩んでいるなら一歩踏み出してみていただきたいです。
私はこの団体と出会うことができて、沢山のものを得て、沢山のものを返せるように努力した結果、自分自身が変わりました。
まずは参加してみて、共感できる、想いが一緒だと思ったら進んでいけると思います。

伊藤 ボランティアをやりたいという人は、ただボランティアと名のつくものならなんでもいいわけではなく、やりたいことが根本にある人だと思います。
だからこそいろいろなものを見て、自分のやりたいことを明確にして下さい。そして、それが見つかったらぜひ挑戦していってほしいと思います。成功は、挑戦しないと得られないものですから。

SMJより

今回お話を伺って、ヤングアメリカンズの魅力、そして、お二人のこの団体に対する想いが伝わってきました。
熱くなれて、自分自身が変われるようなかけがえのない場所と巡り会えるって、貴重なことですよね。
新川さん、伊藤さん、本当にありがとうございました!

[ 取材:有賀・高山 ]