ボランティア体験談

Q1. 普段のお仕事について聞かせてください。

池永平日は年金に関わる審査の仕事をしています。自分が出来ることを色々と体験しながら、合う仕事を探したかったため、前職は焼肉屋の店長候補やパスタのデリバリーの仕事にも携わっていました。現職では、平日はほとんど残業がなく、土日も休みです。ですから、不定期にはなりますが、空き時間を活用してジュゴン保護キャンペーンセンター(以下:SDCC)でボランティアをしています。

小平現在、会計事務所で総務の仕事をしています。SDCCでのボランティアを始めて7年目となります。実は、前職の金融系企業を退職した後、国際会議前で準備もあったので事務所に近い職場なら通いやすく一石二鳥だなとSDCC事務所の最寄り駅の会社でアルバイトを始めました。そのアルバイト先で社員にならないかと誘われたのがきっかけで、現在の勤務先となっています。

Q2. ジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC)で活動を始めたきっかけを教えてください。

池永もともと国際協力や環境問題に興味を持っておりました。同時に、自分のライフスタイルに合うボランティアに取り組める団体がないかとインターネットで探していた際に、偶然発見したのがSDCCです。それまでジュゴンについての知識はあまりありませんでしたが、とにかくその可愛さに心をうたれ、守りたいという想いから応募しました。

小平私の場合は、自分を変えたいという想いから活動を始めました。社会人になって10年間勤務すると、仕事については大体のことがわかってくると思います。このままで仕事を継続していくだけでいいのか。もっと違う生き方もあるのではないか。そんな悩みを感じ始めていた頃に、アメリカの同時多発テロ(9.11)が起きました。世の中の問題について無知な自分に気づきショックでした。なにかモヤモヤを感じていた私が出会ったのが、地球のことを考える市民のイベント「アースディ」に出展していたSDCCでした。もともと毎年訪れるほど沖縄が大好きだった私は、ジュゴンに興味を惹かれましたが、最初は募金と署名をし、チラシだけ持ち帰りました。その後、部屋を片付けていたときに偶然チラシを発見し、とにかく何かをやってみようとボランティアの応募をしました。

Q3. ジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC)での活動内容を教えてください。

小平絶滅危惧種であり、日本の天然記念物であるジュゴンは沖縄に生息しています。ですが、ジュゴンの生息域に米軍基地が建設されることになってしまうと、保護区計画から除外されてしまう。保護区にするために現状を多くの人に知ってもらい、署名を集めることが現在の中心的な活動となっています。また、月に2回程ミーティングを持ち、ジュゴンをめぐる情勢の共有を行うことや、生物多様性に関する勉強会を開催しています。これらの活動の中心的な部分を東京と大阪それぞれ7~8人の社会人ボランティアで担っています。

Q4. ジュゴンに関する問題や生物多様性といった問題を生活者にわかりやすく伝える工夫について教えて下さい。

小平ジュゴンのグッズを手作りし、携帯ストラップやメモ帳として、販売しています。米軍基地や環境問題、生物多様性といった問題のみ取り上げて生活者に伝えていこうとすると非常に難しいのです。ですから、ジュゴンの可愛さについて、まずは生活者に興味を持っていただけるよう工夫しています。生活者にとって、マスコットをつけるだけでも自分自身が関わっているという気持ちになれることが大事だと思います。

Q5. ボランティアと仕事、両方に関わることで感じることがあれば教えてください。

池永現在の本職はとてもインドアな仕事です。ですから、私にとってボランティアはアウトドア。SDCCでのボランティア以外に、環境まちづくりネットという他のNPO法人でもボランティア活動に取り組んでいますが、こうした複数のボランティアを行うことが良い気分転換になっています。仕事だけでは狭くなりがちな視野も、ボランティアでの新しい経験により広げることができます。ボランティアに応募するのは勇気がいる行動ですが、仕事とは違った世界や雰囲気を味わえることがボランティアの魅力だと感じています。

小平SDCCには、20~60代まで幅広いボランティアスタッフがいます。こうした世代の異なる人達と一つの活動に取り組むときには、人との関わり方など、本業で学んだことを活かすことができますし、ボランティアで学んだことが本業に活きることもあると思います。

Q6. ジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC)でのやりがいや活動を続けるモチベーションを教えてください。

池永今までに知らなかったことを知ることや、学習したことの無いことを学べた瞬間は嬉しいですね。また、封入作業等の単純作業でも、それが誰かの役に立っていることを考えると大きなやりがいにつながります。そんな活動を続けられる最大の理由は、SDCCに集まるスタッフの人間関係の良さだと思います。

小平ジュゴンは平和の象徴的な生き物です。ジュゴンから環境問題だけでなく、米軍基地の問題や沖縄文化など、様々なものが見えてきます。人間が生きていくうえで何が大事なのか。そういう本質的な問題に気付かせてくれるきっかけになっているのです。

Q7. 今後のお二人の目標を教えて下さい。

池永まだ活動を始めて1年ですので、ジュゴンに関する理解を深めていきたいと思っています。また会議への参加など自分が出来る範囲で積極的に関わり、誰かの役にたてるように活動に取り組めればと思います。

小平2010年は「国際ジュゴン年」ですので、イベント等にも力を入れ、一人でも多くの生活者にジュゴンの問題を伝えていけるよう頑張りたいと思います。

最後に「もんじゅ」を見ている方へメッセージをお願いします。

池永今年2010年は国際ジュゴン年です。何か始めたいなぁ~と思っている方はジュゴン年をきっかけにボランティアを始めてみませんか?新しい一歩を踏み出すのは勇気がいると思いますが、その一歩が大切。やっぱり自分で動いて感じる事です。ボランティアというと自分が何か与えるように聞こえますが助けられているのは自分かも知れないと思うことがあります。楽しくマジメがモットーのSDCCはあなたの参加を待っています。

小平こうしたボランティアに、1回でも足を運んでみれば、ホームページを見ているよりも、さらに理解も深まり、発見も得られると思います。初めは難しい事や問題も多いかもしれないですが、分かる範囲で、協力できる範囲で、取り組めば良いと思います。

ジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC) http://www.sdcc.jp/
ジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC) の ボランティア募集はこちら

SMJより
絶滅が心配されるジュゴンの日本国内最後の生息域、沖縄島の東部沿岸、辺野古(へのこ)・大浦湾周辺。豊かな自然生態系が残るこの土地のジュゴンを守る取り組みを行う小平さんと池永さん。「自分を変えるため」、「視野の広がりを求めて」、そんな想いから取り組みを始めたお二人のお話を聞き、ボランティアの可能性について改めて考えさせられました。2010年は国際ジュゴン年。ヒトもジュゴンも活き活きできる環境を目指して、できることからはじめようと思えたインタビューでした。小平裕美さん、池永充さん、どうもありがとうございました!

[ 取材:玄道・桑原 撮影:近内 ]

体験者の声